私は健康になると不幸せになるのかもしれない
最近、会社の自販機で「ビタミンレモン」という飲料を好んで飲んでいる。
酸っぱさの中にほのかな甘味があって美味しい。
昔はこの手の健康飲料があまり好きではなかった。
自然の摂理に背いている気がするし、何よりあまり美味しくないイメージがあったからだ。
しかし、飲んでみると存外イケる。
飲料メーカーの努力により健康飲料=不味いという常識は覆りつつあるのだろうか。
ただ、健康飲料が美味しくなったわけではなく私の味覚が変化している、という可能性も考慮しないといけないだろう。
妊婦が酸っぱいものを求めるのと同じ理屈で、私の体にビタミンが不足しているからビタミンレモンを美味と感じるようになっているだけかもしれない。
この理屈で言えば、生活習慣が違う人は栄養状態が違うから、味覚も違うということになる。
日本人好みの味とアメリカ人好みの味は違うという話を聞いたことがあるが、それは欠乏している栄養素が違うことに起因しているのだろうか。
(もちろん単純に慣れ親しんだ故郷の味が好みになるという理由が最も大きいのだろうが)
それならば、美食家と言われる人たちは健康なのか、不健康なのか。
ミシュランガイドが世界的な美食の基準として扱われることがあるが、アレを書いた人たちの栄養状態は如何ほどのものだったのか。
なんとなくだが、グルメな人たちはお金持ちで健康状態も良好なイメージがある(偏見だが)。
一方、いわゆるバカしたな人達は貧乏で不健康なイメージがある(もちろん偏見だが)。
私はコロッケをソースでビシャビシャにして食べるのが好きなバカ舌人間だ。
私のバカ舌は貧乏のせいではないかと思っていたが、健康体にさえなればグルメの仲間入りができるのかもしれない。
しかし、貧乏なままグルメになっても、安くて不味いものしか食べられないから、やっぱり不健康を維持したほうが総合的には幸せなのかも。
誠に深遠な問題でこの場では答えが出せないため、ひとまずはビタミンレモンを飲み続けて味覚の経過観察を行うこととする。