メタル
昨日の夜、私はよく眠れなかった。
1時間に1度くらいの頻度で、押し入れにしまっていたメタルメモリが「メタル(cv.立木文彦)」と鳴っていたからだ。
使うと仮面ライダーが金属質になる変身アイテム
DXガイアメモリは近所迷惑なくらい大迫力のサウンドで鳴る(サジェストで「ガイアメモリ うるさい」と出てくる)。
初めてサウンドを鳴らしたとき、「仮面ライダーの鼓膜はイカれちまってんのか?」と思ったのを覚えている。
押し入れの中にしまったとしても、寝ている私をたたき起こすには十分な爆音だ。
今思えば最初に鳴った時点で押し入れを確かめて鳴った原因を探ればよかったのだが、横着してそのまま寝てしまったので、何度も寝たり起きたりを繰り返す羽目になった。
朝になって改めて押し入れを調べると、メタルメモリの上にダブルドライバー(変身ベルト)が重なっていた。
何かの拍子でベルトがメモリのスイッチを押して「メタル(cv.立木文彦)」という音を出していたのだろう。
ただ、その何かの拍子って何だったのだろうか?
一度だけならわからなくもない。
ベルトが滑り落ちてメモリの上に落ちてきたとか、いくらでも想像はできる。
しかし、このパターンだと「メタル(cv.立木文彦)」は一度しか鳴らないはずだ。
二回目以降の「メタル(cv.立木文彦)」はどうして鳴ったのか?
私の押し入れに何か住み着いているのだろうか。
私は「家が汚くても自分が気にしなければ何の問題もない」という言い訳めいた哲学のもと掃除をサボリ倒しているため、何かしらの小さいお友達(婉曲表現)が侵入したとしてもおかしくない。
彼らが私の寝静まった後に押し入れで大暴れしていたのか?
生意気な。
私は自分より小さい生き物に対しては強気な姿勢で接することにしているので、見つけ次第殺そう。
しかし、小さなお友達ではなくゴーストめいた何かの仕業だったら私が太刀打ちできる話ではなくなってしまう。
幸い、寺生まれの友人がいるので彼にお出ましいただけばなんとかなるかもしれないが、彼は不倫しているという噂があるためその霊験については一抹の不安が残る。
やはり自己防衛が肝要か。
メタルメモリに塩を塗り込んでおこう。
もっとハッピーな方向に想像するなら、立木文彦氏の生霊が寝ている私に危機を知らせるために「メタル(cv.立木文彦)」と警告音を発していたという線もある。
立木文彦氏に助けてもらえる理由に心当たりが一切ないし、立木文彦氏に幽体離脱能力があるという話も寡聞にして聞いたことがないが、そういうこともあるのだろう。
人を助けるのに理由なんていらないし、人を助けるためなら霊魂だって飛ばす。
立木文彦氏はきっとそういう立派な人間なのだ。