我はホワイト
私はいつも白いYシャツ+白いズボンという怪盗キッドみたいな服で出社している。
同僚たちはみんな「なんで白いの?」と聞いてくるが、特段の理由はない。
黒ズボンのポケットがことごとく破れてしまったから、ポケットが破れてない白ズボンを履いているに過ぎない。
だが、ASIMO並みに白い私の恰好は奇異に映るようで、ほとんど話したことのない人にさえ「白いね」と声をかけられるようになった。
白づくめって何か理由がないとしてはいけないのだろうか?
どうも私が新興宗教や秘密結社などの何らかのカルトに傾倒したから白くなってると思われてる節がある。
特に、人事系の先輩からはガチで「最近何か生活に変化があった?」とガチのトーンで聞かれた。
黒いズボンのポケットが破れたくらいしか生活に変化はないのだが。
ただ、最近はみんなに奇異の目で見られるのが楽しくなってきている自分がいる。
見た目でインパクトを与えられるというのは、精神的なマウントの取り合いにおいて先手が打てるということに他ならないからだ。
さらに、白づくめになることであらたん見えてきたこともある。
それは同僚たちの人間としての格だ。
大半の同僚は「白いね」としか言わない。
しかし、白いものを見て「白い」と言うなんて未就学児でもできる。
そんな当たり前の発言では私の精神をビートダウンすることはできない。
こういった輩は、これからも一生後手後手に回り続け、マウントを取られ続ける人生を送るのだろう。
ハッキリ言って格下の雑魚だ。
一方、「最近暑いから反射率の高い色の服を着てるの?」「ベルトだけ黒いのは、お腹を冷やさないように?」「服装規定に引っかからない範囲でどれだけふざけた服を着れるかのチキンレースでもしてるのか?」など、私の先生攻撃に怯まずカウンターパンチを売って売る人間もいる。
また、「お前のペースには乗らんぞ」とばかりに、決して私の服に触れない人もいる。
この人たちは見どころがある。
ハンターハンターでは「開始の合図ですぐ動き出す奴と、最後まで動かない奴が大物で、それ以外はみんな雑魚だ」という大物判別アルゴリズムが語られていた。
コイツが言ってた。
今回はそれを白い服に応用した形になる。
もともとはポケットが破れただけだったのに、まわりまわって今のうちに媚びを売っておくべき大物が炙り出されるとは、人生万事塞翁が馬である。
これからは、白い服を見て「白い」としか言えないようなショボイ連中とは縁を切っていこう。
ハンターハンターで大物判別法を語っていたプーハットはそのあとすぐに惨殺されため、そうならないようにだけは気を付けないといけないが。