時が止まったパチンコ屋と狂ってしまった親父
実家に帰省したら、親父が異常にサッパリした時計を自作していました。
なんでも、2回作るのに失敗して、3回目でやっと成功したのだとか。
なぜ突然時計を作ろうと思ったのか?
3回も作ろうとした執念はどこから湧いているのか?
9が汚すぎないか?
疑問は尽きません。
ただ、私はこの親父の奇行の原因に心当たりがあります。
それは、実家の近所のパチンコ屋の時が止まってしまっていたことです。
そのパチンコ屋は、パチンコ屋のくせに漫画本が1万冊くらい設置されており、しかも無料で読めるという桃源郷みたいな空間でした。
無料でPCも使えましたし、最新刊は発売日に入荷されてましたし、パチンコの音がうるさい人のために防音室まで用意されているというサービス過剰っぷりです。
堕落が押し寄せてくる…!」という喜びと恐怖が同居した複雑な感情に押しつぶされそうになったのを覚えています。
もちろん、家族はこのパチンコ屋に足繁く通っていますし、パチンコを打たない私も、帰省するたびに漫画を読みに行っています。
しかし、前の帰省で訪れたときは少し勝手が違っていました。
時が止まっていたんです。
明らかに最新刊の入荷が1年ほど前で止まっている形跡が見られました。
私はマンガ読みなのですぐに気づきましたが、あまりマンガを読まない親父は「刃牙って途中で終わったの?」と勝手に刃牙を打ち切り認定するほど混乱していました。
刃牙が打ち切られるわけないだろ。
私は親父に「刃牙の続きはあるけど、もうあのパチンコ屋には置かれないんだよ。続きを読むには自分でお金を払って新刊を買うしかないんだよ。」と教えてあげたのですが、親父は「そっかぁ、もう二度と続きは読めないってことかぁ」と訳の分からないことを言っていました。
どうやら、親父の中では完全に漫画=パチンコ屋で読むものという堕落しきった認識になっていたようです。
堕落しすぎで怖い。
おそるべきはパチンコ屋の堕落の館っぷりといったところでしょうか。
ここまで書いたら、親父が時計を作った理由もおわかりになりましたかね?
そう。きっと親父は時計を作ることでパチンコ屋の時を進めて刃牙の新刊を読もうとしたのです。
普通に考えれば時計を作ったところでパチンコ屋に刃牙の新刊は置かれないのですが、パチンコ屋の毒に当てられた親父にはもう冷静な判断能力は残っていなかったのでしょう。
きっと時計を作るより刃牙の新刊買うほうが安かったろうに…
私は親父が狂ってしまったことを悟り、涙を流しながらこの記事を書いています。
次に帰省するときに時計が増えていたらどうしよう。
この狂った時の連鎖を止めるために、次の帰省では刃牙のコミックスをお土産に持って帰ってあげようと思います。