豚汁キャンプを敢行することで命を守るのだ
休暇が終わり、労働が始まる。
休暇明けに同僚と話すことといえば、休み中に何をしていたかということをおいて他にない。
かくいう私も正月には尻毛の剃毛というビッグイベントをこなしている。
例年は話題を提供できず辛酸を舐めていたが、今年は剃毛の話ができる。
剃毛したというダイナマイト話題を正月明けという最高のタイミングで投下できるとは、なんと甘美なる仕事始めだろうか。
剃毛の話を同僚たちにしたところ、どうやら尻毛を排斥したいという願望は男性共通のものだったようで、かなり食いつきがいい。
尻毛を剃りたいという願望は「ガンダムのパイロットになりたい」という願望と同じくらいポピュラーであったようだ。
いままで話題がないときは天気の話などをしていたが、相手が男性なら尻毛の話が安定だったのかもしれない。
みなさんも初対面の人とは尻毛の話をするのがオススメですよ。
しかし、尻毛以上に盛り上がったのが陰毛の話である。
尻毛の剃毛は純粋に清潔感を想起させるが、陰毛の剃毛は何らかの特殊な癖を感じさせるようだ。
みんな口々に「意識高い系かよ」「ワンランク上になったな」「チャラ男デビュー?」などと、高性能翻訳機にかければ一様に「ドン引きした」と訳されるようなコメントをしつつも、「なぜ?どうして?どういう気持ちなの?」と興味深々であった。
たぶんサイコパスの考え方に知的好奇心をそそられるのと似たような心境だったと思われる。
私としては尻毛を剃る前の試し切りとして剃ってみただけだったのだが、一般的には陰毛のほうがビッグイベントであるようだ。
確かに、改めて言われるとそんな気がしてくる。
見た目的にもけっこうインパクトあって、トイレに行くたびに自分でも「ヒッ…!」となってしまうし。
剃っているときはハイになっていて気づかなかった。
人は刃物を持つと冷静な判断ができなくなる。
先日購入した「ハコヅメ」という漫画の既刊をすべて読んだ。
警察官のリアルな日常をコメディタッチで描いた作品で、とても面白い。
何度も大笑いした。
しかし、読んでいて少しブルーになる自分もいる。
作中に出てくるお巡りさんはどこかポンコツ感を漂わせつつも、みんな自分の職務に一生懸命である。
使命感に燃え、激務に耐えている。
自分は彼らのように仕事に誇りを持てているだろうか。
警察官に比べればサラリーマンという職業はぬるま湯のようであるにも関わらず、頑張れていないのではないか。
毛を剃った剃ってないでキャッキャしている自分が恥ずかしい。
そんな気分になっていたのだ。
しかし、冷静に考えると漫画の中の人物と自分を比べても仕方がない。
漫画のキャラクターは色々と誇張されているし、そもそも私たちは彼らの人生の中でも漫画で描かれたわずかな瞬間しか知らない。
私に劣等感を抱かせた「ハコヅメ」のキャラクターたちも、見てないところでは仕事をサボっているかもしれないのだ(というか劇中で割と頻繁にサボりについて言及されている)。
これから非実在のキャラクターに対して劣等感を覚えたときは、「コイツは見えてないところではピンポンダッシュしたり脱税したりしてるに違いない」と考えることで、自分のメンタルを防衛していこう。
最近あまり野菜を食べていない気がしたので、晩御飯はトンカツを食べに行った。
野菜が足りないときは、トンカツ屋で豚汁をお替り(無料)しまくることで補給することにしている。
私は野菜があまり好きではなく、油断するとすぐに野菜不足に陥り生命が脅かされるため、こうして定期的に豚汁キャンプを敢行することで命を守るのだ。
しかしひとつ疑問なのが、このトンカツ屋で豚汁お替りを頼むと5分くらいかかるというところだ。
混雑時ならわかるが、客が私ひとりしかいなくても5分かかる。
なんでだろう。
豚汁ってでっかい鍋に入ってて、汲むだけじゃないのかな。
自分で作ったことないから作り方を勘違いしているのだろうか。
この謎を解明するために、2020年の剃毛に続くチャレンジは「豚汁を作る」にしてみてもいいかもしれない。