Iの喪失って知ってますか?
こんにちは。
現役女子高生の突撃類人猿と申します。
突然ですが皆さん、Iの喪失ってご存知ですか?
Iの喪失とは、私を10年間苦しめた呪いです。
私は幼少期、一人称が「しんちゃん」でした。
親から「しんちゃん」と呼ばれていたので、自分でも自分のことを「しんちゃん」と呼んでいたのです。
これだけ聞くと、ただの微笑ましいエピソードですが、私がこれから語るのは両親への呪詛です。
私は両親を愛していますが、私を「しんちゃん」と呼んでいたことだけは、親を納骨する日まで許す気はありません。
皆さんは、思春期の始まりをいつだと定義していますか?
中学生になったら?声変りが始まったら?それとも、コンビニに置いてあるエッチな雑誌を横目でチラチラ見るようになったら?
いずれも確かに思春期の始まりに違いありませんが、私の中での定義は「親の前で自分のことを俺と呼び始めるとき」です。
親の支配からの卒業と、東京ドーム10個分の自意識の獲得、この二つを意味するのが「俺」なのです。
親の前で初めて「俺」と言ったとき、少年は男の荒野を歩き始めます。
しかし、私は「しんちゃん」のせいで「俺」にシフトチェンジすることができませんでした。
なぜなら、「僕」→「俺」がアグモンからグレイモンへの進化だとすれば、「しんちゃん」→「俺」はウォーグレイモンにワープ進化するのに等しいからです。
昨日までTシャツ短パンしか着てなかった奴が、急にクロムハーツのアクセサリをじゃらじゃら着け始めるようなもんですよ。
「しんちゃん」というクソダサファッションを身に着けていた私にとって、「俺」というクロムハーツはあまりにも高いハードルで、私は自意識の垂直立ち上げを余儀なくされました。
そして、私は結局それができませんでした。
わたしは「しんちゃん」に思春期を殺されたのです。
思春期を殺した少年に何が待っていると思いますか?
思春期を殺した少年からは、Iが喪失するのです。
中学生にもなって自分のことを「しんちゃん」と呼ぶのは、流石に気恥ずかしい。
しかし、「俺」へのヒルクライムはまだ達成できていない。
そうなると、英語でいうところのIにあたる言葉を発することができなくなってしまうのです。
実際、私は中学生くらいのとき、涼宮ハルヒばりに騒がしい少年だったのですが、Iを言う必要があるシチュエーションになったときだけ、自分の事を無言で指さすという長門みたいな無口キャラに変貌していました。
親は勿論「なんで急に黙るの?」と聞いてくるんですが、私は「いや、別に…」と答えることしかできません。
今思えば、突然哀しい過去を思い出したフリをするタイプの中二病にしか見えないので、親からすれば、それはそれで順調に思春期が進行しているように見えたかもしれないのは救いではあります。
幸い、今の私はちゃんと「俺」を獲得できています。
一人暮らしを始めたことと、大学で悪友に恵まれたことで、自意識がヨッシーアイランドのボス戦前みたいに急速に巨大化したのです。
むしろ、自意識が高じて、こんなお下劣ブログを始めてしまいました。
思春期を殺した少年は、思春期おじさんというモンスターに進化したのです。
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